ラボシェアリング

実験器具をオーダーメイドも可能!?老舗理化学機器メーカーで起こすコラボレーション

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introduction

埼玉県草加市に草加本社工場を置く柴田科学株式会社は創業102 年の理化学機器メーカーです。研究者にとって身近なガラス製の実験器具から、さまざまな環境測定機器や動物実験装置、果ては化学プラント装置まで手掛けている企業です。本社工場内にはラボルームもありCo-LABO MAKER でのシェア提供も進んでいます。シェアを通じてどのようなコラボレーションを目指しているのか、どのようなアイデアが実践できそうか、柴田科学株式会社の柴田眞利社長とCo-LABO MAKER 代表の古谷が語り合いました。

102 年続く老舗理化学機器メーカーで、コラボレーション

古谷:まず、柴田科学株式会社さまがどのような事業展開をしているかをお伺いできますでしょうか?

柴田:当社は1921年(大正10年)創業の理化学機器メーカーです。フラスコやビーカーといったガラス製造販売からスタートし、環境測定機器、化学機器、動物・環境試験装置、化学プラント装置など約6,000品目を手掛けています。大学の先生から「こんな実験を行いたいので、装置を作るのを手伝って欲しい」とお声がけ頂くことも多いですね。

古谷:私も柴田科学さまの存在は大学の研究室時代から、よく知っていました。Co-LABO MAKERでのラボシェアリングはもう3年ほど前からご一緒させていただいていますよね。

柴田:そうでしたね。草加本社工場敷地内にラボルームがあり、ユーザーさまからの「サンプルテストを行いたい」というニーズに応えたり、弊社の製品販売を担うディーラー様や社内への営業教育などで活用していました。ただ、稼働が少ないという実情がありました。 そんな折にCo-LABO MAKERさんを弊社のラボ担当者がお見かけしたことでご相談が始まり、トントン拍子でラボシェアリングの実施が決まりました。これまで年に2社くらい、合計6社くらいに活用頂いております。世の中はさまざまな製品に溢れていますが、どんな製品でも、新しいものを作り出すには基礎研究が必要です。ラボシェアリングを通じてその基礎研究に貢献できる喜びがあり、当社の社員たちも研究者様とのコミュニケーションから非常に刺激を受けていますね。

当社のラボルームは埼玉県草加市の東武スカイツリーライン獨協大学前駅から徒歩5分という立地です。また日比谷駅からも直通40分でアクセスできる位置にありますので、都心からも活用しやすいラボルームだと思います。

青色発光ダイオードの中村修二先生も自身で器具を加工していた!?

古谷:今日の取材に際して、柴田科学さまの工場を見学して思ったのは「すぐ近くに工場があるので色々と捗りそう……」という点です。私自身も東北大学時代にはガラスを用いた研究を行っていたのですが、「不活性ガスで中を満たすために、こんなガラス器具が欲しい」と、東北大が契約した専用の工場に掛け合って、作ってもらいそれを用いて実験して……と繰り返していました。バーナーで空気と触れ合わないようにして綺麗に封じるのは、工場の職人さんならば経験も積んでいるでしょうから容易だと思いますが、素人がやるのは大変難しく、失敗すれば器具は無駄になってしまいます。東北大の材料工学研究という比較的予算に恵まれている研究室だからできた環境だったのだなと今振り返って思います。

青色発光ダイオードで著名な中村修二先生も、自身の研究にそこまで予算がついたわけでもなかったので、自身でガラス器具の加工を行い実験器具の確保をして研究に臨んでいたそうです(『青色発光ダイオードへの挑戦』より)。柴田科学さまのこのラボルームは、研究者が直接工場で器具について相談ができる環境なのだと思います。

柴田:ありがとうございます。元々当社はガラス器具には自信を持っております。ガラスの材質素材は非常にピュアで不純物がない、地球環境に優しい素材です。もちろんプラスチックにも良さはありますが、熱に強く不純物がなくて、繰り返し使えるガラス素材のアピールは今後もしていきたいですね。

古谷:加えて御社のラボと工場を見て、半導体業界でいうファブレス(工場「fabrication facility」を持たない)開発のようなことができそうだ、と思いました。半導体業界では、自社で生産設備を持たず企画・設計・マーケティングを行う、例えばAppleのようなファブレス企業と、実際に生産機能に特化したTSMCのようなファウンドリ(Foundry)企業が分離しています。同じように、研究プロジェクトは立ち上げたものの必要な設備がない企業・大学研究者が、この柴田科学を拠点として、ガラス加工や装置作りもサポートしてもらいつつ研究する。そんなラボレス研究開発とも呼べる開発のスタイルができるのではないかと思います。環境に良いことをするために、新しいテクノロジーを用いて行う際に、技術者がこのラボに来て原理検証を行い、良い結果が出たらそのまま作り出す。そんな、構想から実用化までがシームレスにつながる社会実装ができると面白いですね。

その他に柴田科学さまが強みにしている点などはありますでしょうか?

柴田:環境系の装置なども多数手がけています。例えば、空気中の一酸化炭素濃度や粉じんがどのくらいあるかを測定する機器です。大手上場企業も含めた化学メーカーがプラントを立てる際にも環境に負荷をかけない優しい工場を作っていかなければなりません。新しいプロセスの導入においては評価手法を様々検討する必要がありますが、そのお手伝いを柴田科学では行っています。

柴田科学のラボ。実験器具は揃っているのですぐにでも研究ができる

そのほかにも、メダカなどの魚類を用いて環境ホルモンなどの影響を実験する試験装置や、マウス等を用いて物質を噴射しどの程度の濃度のときに影響があるか生態影響評価を測定する動物実験装置もあります。農薬等、環境汚染物質の調査に使用する機器や実験設備に関する知見をもっていますので、何か実験や装置周りでのご相談があれば是非仰って頂ければと思います。

日本は科学技術に投資をしなければ生き残れない

古谷:柴田科学さまは今後どのような展望を持っていらっしゃるか、お話をいただけますでしょうか。

柴田:日本は資源が少なく、少子高齢化に歯止めがかかっていません。これから日本が世界で生き抜くためには、科学技術への投資が不可欠だと思います。バブル崩壊後の日本が「失われた30年」と揶揄されるようになってしまったのは、企業も個人もチャレンジをしない状況になってしまったからではないでしょうか。科学技術にしっかりと投資を行い、個人も企業もチャレンジができるような環境を作っていきたいですね。柴田科学はその中核を成す会社で在りたいと思います。

ですから、社員にも「柴田科学は技術と品質と信頼の会社である」といつも言っています。確かな技術と品質を持ってお客様に信頼されること。その信頼に応えて皆さまに愛される企業を目指してこれからも事業を行っていきたいです。

古谷:これからもCo-LABO MAKERを通じてご一緒できると嬉しいです。今日はお時間を頂きありがとうございました。

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