イベントレポート

Co-LABO MAKERも連携、イノベーションが起こる「三井リンクラボ」とは

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三井リンクラボ

introduction

「イノベーションが起こる研究開発ラボ」と聞くとどのような場所を想像するでしょうか。昨今、注目されているのは三井不動産が提供する「三井リンクラボ」です。都心接近型というコンセプトのもと新木場の「三井リンクラボ」では創薬や再生医療などの研究が盛んに行われており、共通機器室が整備されるなど充実した研究環境が整っています。実はCo-LABO MAKERも「三井リンクラボ」の入居企業に向けて優待プラン提供を開始することになりました。今回は、三井リンクラボ新木場2に伺ってきました。

研究開発のイノベーションが起こる場所、三井リンクラボ

都市圏の研究開発において注目されているのが「賃貸ラボ&オフィス」と共用で利用できる会議室や共通機器室を併設する三井リンクラボ。創薬や再生医療の分野のさまざまなプレイヤーが入居しています。

早速、三井リンクラボはどんな施設か、三井不動産(株)イノベーション推進本部 ライフサイエンス・イノベーション推進部 ラボ&オフィスグループ主事の竹村晴実さんに案内してもらいました。

三井不動産(株)イノベーション推進本部 ライフサイエンス・イノベーション推進部 ラボ&オフィスグループ主事の竹村晴実さん

「三井不動産はオフィスビルや商業施設で発展してきた不動産デベロッパーですが、少子高齢化の人口減少社会を迎えて、自社にも危機感がありました。そこで着目したのが産業活性化を軸とした街づくりと『ライフサイエンス』の領域です。

実は三井不動産の創業の地、日本橋は江戸時代に薬種商や薬種問屋が立ち並んでいた街。今でも大手製薬企業の本社や外資系製薬企業がたくさんあります。そういった企業やアカデミア等のライフサイエンス関係者をつなげてイノベーション創出のエコシステムを構築できないかと、『LINK-J』(一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン)というコミュニティ作りの取り組みを2016年にスタートしました。

そのなかで困りごとをヒアリングしていくと都心部でのラボニーズがあることが分かってきました。

そこで、ライフサイエンス企業に向けて開設したのが、場づくりとしての『三井リンクラボ』です。「賃貸ラボ&オフィス」と共用で利用できる共用部があり、BSL2にも対応しています」(三井不動産・竹村さん)

新木場駅徒歩7分の三井リンクラボ新木場2、およそ40~50社が入居想定

「標準では一区画100㎡または150㎡からのご提供です。100㎡規模あれば3~5人分程度の机と実験設備が準備できるかと思います。

ただし、創業まもないスタートアップの場合にはそこまでスペースが必要なかったりするもの。加えて『入居工事で半年は待てない。すぐに入居して実験を開始したい。』、『初期投資を抑えたい。』というニーズを受けて、シンクや電源、実験エリアと執務エリアを分ける間仕切りなどを三井不動産側で工事を行った70~100㎡サイズのプリセット区画(通称スタートアップ区画)もあります」(三井不動産・竹村さん)

スタートアップ企業向け100㎡のプリセット区画。手前が執務エリアで奥が実験エリア、自由に実験機器や什器のレイアウトが可能。

通常、ラボを構えようと思ったら、入居場所探しからスタートし、入居工事等で多大な時間と工事費がかかるもの。その点、プリセット区画では入居者は初期投資を抑えられると同時に、実験機器や什器を持ち込めばすぐに研究開発に取り組むことが可能なのです。

「スタートアップ企業からの要望も受けて三井リンクラボ新木場2には『共通機器室』も設置しました。入居者様にヒアリングさせていただき、ニーズの高い、セルアナライザー、リアルタイムPCR、蛍光顕微鏡などを設置しており、時間貸しでご利用いただけ、初期投資の削減が可能です」(三井不動産・竹村さん)

共通機器室も機器が充実している

「もう一つ、2024年1月にオープンしたのが研究用の消耗品や備品、試薬をその場で1点から買える店舗『三井リンクラボ LINK Stock(以下LINK Stock)』です。

研究用の試薬・備品・消耗品は、箱買いが主流ですが、限られたラボスペースの中で、デッドスペースに繋がってしまいます。商品の注文から到着までに時間も要します。そこで、研究者の「必要な分だけ、すぐに調達したい」というニーズに応えるのがこの『LINK Stock』です。

『LINK Stock』では理化学機器商社のアズワンさんとタッグを組んで、入居者が必要なときに必要な分、その場で買える体制を整えました。まさに入居者の“コンビニエンスストア兼ストック”として活用いただけます」(三井不動産・竹村さん)

三井リンクラボ LINK Stock、消耗品や試薬の購入だけでなく、研究機器のレンタルサービスも提供している

日本の産業を元気に、そしてイノベーションを

三井リンクラボは、今後新木場に3棟展開を予定しているそう。

「最初にオープンしたのが『新木場1』で現在約25社が入居しています。『新木場2』には今後計45~50社ほどになるでしょうか。もう一つ『新木場3』が2024年秋竣工予定(2024年春時点で建設中)で、それぞれを合わせれば合計100社ほどが新木場に集積する予定です。

三井リンクラボ2新木場の共用会議室。窓の外には東京湾に面したかつての貯木場が見える

ライフサイエンス領域と言いますが、入居企業のカラーも多様に富んでいます。創業まもないスタートアップ企業だけでなく大手企業から、食品系企業、化学系企業、半導体企業などさまざまです。海外企業からの引き合いも多いですね。

三井不動産は『LINK-J』というコミュニティ作り、『三井リンクラボ』や『ライフサイエンスビルシリーズ(ライフサイエンス企業向け賃貸オフィス)』での場の整備、そしてスタートアップ企業へのLP投資を通じた資金の提供、という3本の柱によるエコシステム構築を推進しています。この施策を中心にここからイノベーションを起こしていきたいと考えています」(三井不動産・竹村さん)

カフェスペース横にはオーシャンビューのテラスも

Co-LABO MAKERは、東京都が行うイノベーションを起こすためのプログラム『TOKYO SUTEAM』にも参画しています。こちらは東京都と多様な支援者の連携によるスタートアップ支援のプログラム。Co-LABO MAKERは委託試験・委託分析が30万円割引になる入居者特典を提供し、自社ではできない実験や試験の支援を行っています。

Co-LABO MAKERは、イノベーション創出のエコシステム構築を目指す三井不動産の取組に共感し、この度、三井不動産と連携し、優待プランとして、「三井リンクラボ」の入居企業向けに本サービスの提供を開始することになりました。

「提供している委託メニューの実験はウイルス不活化試験、抗菌試験、安全性試験、動物・細胞試験、構造解析、試料評価など、多岐に渡ります。実施したい実験や試験の内容をお伺いした上で、最適な研究機関や企業をご提案させていただきます。」(Co-LABO MAKER・杉ノ内)

三井リンクラボの入居企業向けに委託試験・委託分析試験が30万円割引になる優待プランを提供

「日本の研究開発は横の連携が上手くいっていなかった印象があります。結果、新しく思いついた実験がしたくてもすぐには出来ない状況が続いていました。三井リンクラボがこのような賃貸ラボサービスを提供していることを非常に心強く思います。また、Co-LABO MAKERもイノベーション創出のために奮闘するライフサイエンス企業を応援していきたいと思っています」(Co-LABO MAKER・CEO 古谷)

三井リンクラボ新木場2で行われたCo-LABO MAKERのサービス説明会の様子

Co-LABO MAKERはこれからも日本の研究開発を支援していきます。実験や試験等でお困りごとがありましたら是非お問い合わせください。

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